YSP福大東
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YZF-R1
09-YZF-R1
09-R1・フロントビュー
今年最大の話題のマシンが国内発売
R1は牙を抜かれたのか?

R1・リアスラントビュー
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 年々、ヒステリックとも感じられる程の強化が進む騒音規制と排気ガス規制。これに伴い、YAMAHAの輸出モデルを逆輸入販売している「プレスト・コーポレーション」が09モデルのYZF-R1の逆輸入を断念したとの決定が下され、話題のフルモデルチェンジに期待を寄せていたファンを絶望させたのは2008年10月。
それは突然の出来事。YAMAHAウェブサイトで4月、09-R1の国内販売決定の知らせが何の前触れもなく発表された。
国内専用モデルということで、吸気系のプログラム変更、排気系の変更、騒音対策部品の追加、パワーダウンと、がっかりさせられるような項目が並び、興味を失ったファンも多いかと思う。
果たして国内仕様の09-R1は牙を抜かれてしまったのか、試乗車投入の情報を聞き付け、早速YSP福大東へと向った。
リアスラントビュー見る者を釘付けにする迫力のデザインライン
走らずして漂うスピードのアイデンティテイ

個性的な顔
カウルエンド部分
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 09-R1の第一印象は「スパルタン」。08までの豪華な印象の4灯ヘッドライトは、飾り気のない小さく真ん丸なプロジェクターヘッドライトに変わり、その脇には大きなエアインテイクが黒く口をあけている。ギョロっとした無表情な顔だちは、それまでの丹精な印象から、魚か猛禽のような冷血なハンターのそれに変わった。これは好みが別れるだろう、全くといっていいほどデザインラインが変わり、レーシングモディファイを施したように無駄をそぎ落とし、思いきりが良くなっている。
 サイドカウルも胸板が厚くなったようなボリュームがあり、開口部が少ないためさらにグラマラスに見える。この独特の形状は内部の流速を高め、冷却効果を高める設計になっている。後端部の二枚になった部分には「CROSS PLANE i4」の文字が見える。
エンジン左サイド テールエンド
テールセクションとリアタイヤ 足着き
 騒音規制の関係でエンジン左側はほとんどカバーされている。これは国内仕様のみに取り付けられているようである。近未来的なフォルムと見るか、取外すか、この際カラーリングしてしまっても面白いかもしれない(写真:左上)。同じく騒音規制の影響で巨大化したマフラーだが、驚くほど違和感なくテールセクションに収まっているではないか。パイプエンドのコーンはチタン製で、独特の質感が迫力を出している(写真:右上)。テールセクションは短く、リアタイヤがファットに主張するデザイン。最近のYAMAHAのこのラインが大好きだ。個人的に気に入ったのはテールランプ。「Y」のイニシャルが象られているのが印象的(写真:左下)。筋肉質でパワー感のあるスタイルは視線を釘付けにする魔力がある。08の洗練されたスマートさとは対極なデザインだが、まぎれもなくR1なのだ。
 またがってみると、09-R1が語るものがよりハッキリと見えてくる。ぐっと迫るようなトップブリッジに低くセットされたハンドルはシートとほぼ同じ高さ。大きく盛り上がったタンクだが、08モデルとくらべるととても短く感じられる。今回のモデルチェンジで縦長の形状になっている。実測値は不明だが、肘に大きくゆとりができ、運動性の高いマシンを操るにはちょうど良い。ステップも走行中の着座位置の真下あたりにあり、08よりも高い印象。停車時に足に干渉することもない。08と比較するとかなりコンパクトなポジションになり、操りやすそうだ。身長170センチ、両足を降ろしてもかかとが軽く浮く程度。体重は軽量級なので、サスペンションの沈み込みはあまりないのだが、足着きは良好だ(写真:右下)。
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国内メーカー唯一のMoto GP直系エンジン
クロスプレーン型クランクシャフトがもたらすもの

 09-R1を語る上でクロスプレーン型クランクシャフトは避けて通れない要素である。天才ライダー、バレンティーノ・ロッシを擁し、Moto GPチャンピオンを獲得したYZR-M1にも同じクロスプレーン型クランクシャフトのエンジンが搭載されており、2009年も継続して採用されている。
 詳しい説明はウェブサイトや各種マガジンにお願いするとして、まずは試乗に出る事にした。サーキットレベルの走行性能なども各種マガジンにお願いするとして、一般道でのフィーリングと、ユーザビリティを主にレポートしたい。
まずは、YSP福大東の武本社長からレクチャーを受ける。目新しい機能として、電子制御でエンジン特性を切り替えられるという「D-MODE」。ベストな状態でポテンシャルを引き出せる「STD」、低中速領域で楽しめる「Aモード」、STDに対して穏やかで扱いやすい「Bモード」の三種類。まずはSTDでスタートした。
 排気音はパルス感があり、V4のよう。お店から通行量の多い道を右折。初めての車体ではちょっと緊張の場面。太いタイヤは旋回性が落ちる上に馬力がある場合はまっすぐいきそうになるのだが、タンクに外側の足を押しつけるようにすると、すっと曲る。軽い感じはなく自然だ。その後しばらくは交通量の多い一般道だったのでほぼローギアでの走行を強いられる。ワイヤー式のクラッチのおかげで、半クラッチの操作感が良い。メーターのデザインがカッコ良く、小さくて見易いのも好印象だ(下の写真:左上)。タンクが短いので前傾がきついという感じもない。タンクとフレームの間に隙間を作り熱を逃がすため、思ったほど暑くなかった(下の写真:右上)。
メーター タンクとフレームの間隙
フロントブレーキは実にコントローラブル リア足回り
 いよいよ山坂道に入る。細い道で回り込むコーナーが連続する、パワーのあるリッターバイクには不向きなライン。STDモードでじんわりと流す。本来のポテンシャルでの出力特性ということで、低回転域の走行では車体の軽さは感じるものの、積極的にアクセルを開けることはできなかった。二巡目は低中速向きに変身する「Aモード」。同じ調子でアクセルを開けるとまるで重量が3割くらい軽くなったようにガツンと突進する。低速域でもトルク特性が安定する回転域に置いておけるので、アクセルワークに忠実に反応してくれる。回転域も広いため、回り込んだコーナーを低速ギアで引っ張ったまま抜けて行くことができる。馬力制限してあるとはいえ145馬力。アクセルワークをミスすればどこに行くか分からないのだが。慌ててアクセルを戻したとしてもエンジンブレーキを軽減してくれるスリッパークラッチのおかげで挙動も安定している。ブレーキは効き始めにガツンとくるような極端さもなく、握り具合に応じて制動力がわかりやすく変化するためコントロールしやすい。
 ステージを変えて、中速コーナーが連続する山坂道。道幅も広くアップダウンがあり、見通しも良い田舎道。ここではSTDが威力を発揮。広い回転域を使ってスムーズに楽に走る事ができる。特にブレーキングから加速に転じるまでのセクションでは、等間隔爆発の直列4気筒の場合、慎重にアクセルを開けていってもパワーが盛り上がり、コーナリングが安定しない場合があるのだが、不等間隔爆発の賜物か、アクセルワークに対するパワー変動が安定していて、いつでも同じ反応を引き出せるように感じた。アクセルワーク通りに加速する印象だ。車体回りについていえば、タンクが短くステップが高くなったため、前後への体重移動域が広くなり、コーナリングフォームの自由度が大きくなった。このことは路面状況の変化が多い一般道ではとても大切なファクターである。工事中のフラットダートに突然飛び込んでも楽しく走れそうだ。
 フレームやフロントフォーク、スイングアームの剛性に何か気付く事が出るレベルの事はしていない。サスペンションは低速でも路面の追従性が良く、硬さも感じもないので町乗りでも疲れない。これも凄いことだと思う。
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タンデムシート裏 ナイロンベルト引き出し
引っ掛けられます シート内部
ちょっとした気遣いにがうれしい
ストリートユーズのエクイップメント

09-R1はサーキットでのチャンピオンマシンとして位置付けられているのと同時に、市販車としてツーリングに日常使いにと活躍してもらわないと困る。前著の「D-MODE」はエンジン特性を変化させることで、サーキットユーズに向いているエンジン特性を様々なシーンに合わせる事ができるという「日常性」を持たせている。これは画期的な事であり、今後も進化していって欲しい機能である。また、盗難防止のイモビライザーが装備されているのは近年では普通になっている。
その他に、何にも書かれていないのだが、タンデムシートの裏に四ケ所ナイロンベルトが隠されていた。これが何かというと、シートの外側にベルトを引き出すとフックを使ってバンジーコードをかける事ができる。アップマフラーのため、荷掛けフックをシートレールに取り付けることができず、このような「隠しアイテム」が装備されているのだろう、これは素晴しい気遣いである。タンデムシート下にはちょっとした物が入るスペースがある。
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乗りやすいスーパースポーツ
これこそが一番大切な資質なのかもしれない

 最後に、総合的な印象は「とても乗りやすい」というもの。ちょっと悪口に聞こえるかもしれないが、そうではない。全ての要素がとても上質な域でバランスしている。アクセルワークへのレスポンスやサスペンションの動作、シャシーの剛性、ブレーキのタッチなど全てに使いにくい部分がない。見た目に反して、恐さや危なっかしさ、荒々しさが見当たらない。またがって走りはじめるとすぐに体に馴染む感じがこの09-R1最大の特徴なのかもしれない。それはそのまま、高い領域でも余裕あるコントロールができるということになるだろう。このことは、経験の少ないライダーにとっては、安心感というとても大きな恩恵を得る事ができるだろうし、エキスパートには純粋にライディングを楽しむための良きパートナーとなるだろう。ただし、じゃじゃ馬的な荒々しさを求めるなら不向きと言わざるを得ない。
 始めの疑問に戻ろう。「09-R1国内仕様はフルパワーと比較して牙を抜かれたのか」と問われれば、これは日本仕様として再構成されていると答えておこう。

 2004年、バレンティーノ・ロッシが初めてクロスプレーン型クランクシャフトのYZR-M1に乗った時の第一印象は「Sweet」。一度操ってみれば、その言葉の意味の幾分かは必ず理解できると思う。(舩)
特集:09-YZF-R1 特集:TMAX 特集:MAJESTY
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